ホーム > 千枚漬へのこだわり
上質の素材を味わっていただくのが千枚漬け。材料と手間を惜しまないことが『とり山本店』の守り続けるコダワリです。こと昆布にいたっては北海道利尻の礼文島で収穫される、人気の天然利尻昆布の中でも等級の高いものに限定して使用。例年、120kg以上およぶ昆布を1枚1枚丁寧に洗い、シワを取るために伸ばして丸めることから作業が始まります。すべては変わらぬ味をお届けするために。
千枚漬けの主役は何といっても聖護院かぶらです。私たちは秋から冬にかけて、時期にあわせて最高の風味を持つかぶらを仕入れています。実際に畑に足を運んで、農家さんからかぶらと一緒に最新の情報を仕入れることも少なくありません。そんな選りすぐりのかぶらの外側を贅沢に削り、味と風味が均一となる内側のみを使用しています。
こうして真っ白い球体となったかぶらを、一枚物の桜の木でできたカンナを使い丁寧にスライスしていきます。厚みはマニュアルではなく、かぶらの声を聞きながら長年の経験にもとづく勘を働かせた上で、数ミクロンの域を肌で決めていきます。かぶらも昆布も生き物で、数字だけでは計れないものが多く存在します。最高の千枚漬けを作るためには、レシピではなく作り手の愛情が大事なのです。
おろしたかぶらはすぐに塩漬けにします。これは『下漬け』と呼ばれ、かぶらを樽の中に丁寧にならべては、塩を繰り返しまんべんなく振っていきます。そして2晩ほど寝かせると、みずみずしさを逃すことなく千枚漬けに適度な塩加減をまとって準備が完了です。いずれも寒い中で行う地味な作業ですが、素材が望む気温に対応することは、漬物屋という商売の中では当たり前のことでもあります。
こうして膨大な準備作業を経て、いよいよ千枚漬けの本漬け作業に入ります。かぶらをならべて昆布を乗せると、その上に秘伝のダシをかける。これを何重にも繰り返して、最後に切り千枚を保護的にかぶせて、重し石を置いて完了です。不要な添加物等は一切使わず、かぶらが持つ上品な味わいと、利尻昆布が奏でる素朴でいて深みのある風味だけをお届けするために。この規模ならではの『本物』をぜひご賞味ください。
樽で本漬けを終えた千枚漬けは、袋詰め(または樽詰め)にされていよいよ出荷です。この作業だけはパートさんに手伝ってもらいますが、ここまでに至る膨大で地道な作業を見た人は必ずこう口にします。「千枚漬けって、高くないんですね」。そう、材料と手間を惜しまず本物だけを作り続けてきた『とり山本店』の千枚漬け。今年も変わらぬ“極上”をお届けいたします。